古町芸妓 +エピソード 34

昔、その地方の人口は、どれだけ人を養える食べ物があるかで決まったようだ。北前船の寄る港があり、お米の取れた新潟県は豊かな県であり、明治の初めに東京に抜かれるまで日本で一番人口の多い都道府県であった。そして京都の祇園、東京の新橋と並び称されてきた花街、新潟古町があった。古町では芸者さんのことを芸妓さんと呼ぶ。日本最古の洋食屋であるホテル・イタリア軒の離れにある「蛍」のお座敷で先日は日頃触れることのない芸妓文化を、お手ごろな値段で体験できる催しがあった。食事の後、歌踊り、お座敷芸。お座敷芸で芸妓さんに勝ったら「いい男には弱いので」と、さすが芸妓さんはお客さんを喜ばす接待業でありエンターティナーでもある。お世辞でも「今度お座敷行ってみょうかなぁ~」と鼻の下を伸ばした一刻でした。いやいやその手は桑名の焼き蛤。

 

エピソード 34 マイナンバーカード

 

以前にも触れたが、日本のマイナンバーカードに当たるのがアメリカではソーシャルセキュリティーカード(S.S. CARD)というカード制度。日本で国民にマイナンバーカードを持たせるのに、こんなに手間取っているのはアメリカでの制度を知る人には信じられない日本政府の手際の悪さである。普及させるために一人二万円分のポイントをあげたのに、それでも普及しないのは義務でないからであり、無くても暮らせるからである。普及を進めるのなら、今後はマイナンバーカイドなしには暮らせないようにしたらいい。

 

私がアメリカに行って長期滞在するために最初にしなければならなかったことはS.S. OFFICEに行ってS.S.CARDを発行してもらうことだった。それがないと、銀行に口座を開くことができなかったし、その後仕事に就くこともできなかった。日本でも、最初から例えば「3年後からマイナンバーを持っていない人は公的、社会的ないろんなサービスを受けられなくなります」と、決めれば何の問題もなく普及したはず。昔はアメリカでも借りたS.S.ナンバーで他人に成りすまして移民者が仕事に就くなどS.S.ナンバーが不正利用された話はあったが、今では悪用されたという話はほとんど聞いたことがない。

海外に制度を視察に行った国会議員の先生方は何を見てきたのであろうか。

 

調べたらすでに世界のほとんどの先進国は国民ナンバー制度をもって国民の情報を管理している。日本だけが情報の三流国に留まることはあり得ない。将来はすべての分野でデジタル化が進み事務のコストカット、合理化を図るのは逆行できない時代の流れであると思う。確かに不信感を与えない完成度の高いカードを提供することは政府の責任であるが、10年後、20年後の社会を想像してほしい。ここでいま抵抗しても必ず時間とともにそう社会になっていく。それなのに政府が『マイナンバーカードの取得は任意で、返納や再取得も本人の意思で可能」としたことは愚策だと思う。さらには最大2万円分のマイナポイントを取得した上で返納する人まで居ることに批判が上がっている。

 

「みんなで返納すればこわくない」。そんな文言が描かれたイラストで、マイナカードの返納を呼びかける投稿がツイッターで拡散されて、ラサール石井も6月26日に「私は本日マイナンバーカードを返納しました」と自慢話のように報告した。実際はカードを返納しても既に習得しているナンバーは残るので、まったく意味のない悪質なパフォーマンスとしか思えない。このポイントもカードの普及のため税金で賄われていたのだから非難を受けて当然。これでは質の悪い詐欺にあったようなもの。こんなことを許していては永久に目標の100%は達成できない。将来的に普及率100%にしたいのなら、これ以上の税金の無駄使いを避け、「マイナンバーを持たないと公的サービスを受けれなくなります」というくらいもっと強力に推進するべきだと思う。