中国格安ツアー Day 5

今回のツアー最後の日。今日は朝5時に起きて、朝食を食べる時間もなくロビーに集合して6時にホテルを出て空港に向かう。バスの中で朝食にもらったパンと果物、ゆで卵をたべる。混雑した道路を1時間少し走り空港につくと、慌ただしいチェックインと出国審査。

今回の旅では、ほとんどお土産を買わなかったので、一番かかったのが飲み代。ほとんど毎食瓶に入ったビールを頼んでいたが、連れて行かれたレストランではアルコールは何処もビールが30元〈540円〉紹興酒が瓶で150元〈2700円)であった。日本では普通の値段に感じるが、何処のレストランも同じ値段というのはそのからくりが分かる。幾らかのキックバックが連れて来たガイドさんに入っているはずである。街ではコンビニでビールが一缶4元から6元くらい。紹興酒が瓶で35元くらいであるから、通常レストランでは瓶のビールが10元、紹興酒が70元くらいで売られていると思われる。

実際、観光地・烏鎮で小路沿いのレストランのテラスで欧米人が同じ瓶のビールを飲んでいたので、「このレストランではビールに幾ら払っている?」と、聞いたら「10元」という返事だったので、差額の20元はガイドの趙さんにキックバックされているのだろう。しかし、このツアー料金を見ればキックバックはガイドさんには大切な収入源であるのが理解出来るので、なるべく協力して毎食ビールを頼む様にしていた。さらに外で買った紹興酒が2本とOくんが日本から持っていった2リットルの日本酒もペットボトルに移し替え、いろんな場所で清涼飲料水を飲む様に見せかけて飲んでいたので4日間で空いていた。

日本に住んでた事のあるガイドの趙さんが世界で一番尊敬する女性は美智子妃殿下だという。セールストークも上手く、お土産やさんにいったらお土産を買わせようとするが、我々二人はほとんどお土産を買っていない。

それでも旅の終わりにガイドの趙さんへの感謝を込めて、欲しくはないがツアーの写真をチップ代わりに買ってあげた。

初めて観る中国本土はパワフルであった。そして、超近代的な顔と、すぐ横には貧しい人の住む生活圏も同居している不思議な国であった。テレビでは合成された場面で習近平の話を神妙な顔で聞いて頷くロシアのプーチン大統領、インドのモディ首相、モンゴルのバトトルガ大統領の顔が繰り返し映されていた。そんなテレビ画面と、急激に発達した街並みをみたら、庶民は中国は世界一の国だと洗脳される事であろう。実際、この国はまだまだ凄い勢いで変わっている。その目覚めた虎をこれからどうコントロールして行くのであろう。

中国政府が国民をコントロール出来ても、中国政府を世界の常識の範疇に飼いならせる猛獣使いが今は居ない。アメリカのトランプ政権は後2年半後の大統領制で浄化されるから心配していない。それより習近平は憲法を変えて終身制度にして第二の毛沢東になろうとしている。今の中国人は毛沢東がどんな悪政と日本統治時代以上の犠牲を人民に強いたかを知らない。

いままで世界はアメリカのスーパーパワーに守られて発展して来たのは事実である。少なくとも私が42年暮らしてみたアメリカはフェアな国でした。アメリカの自由は規律を守っての自由であり、規律を守らなければ罰せられる。これから先、中国がアメリカ以上の軍事力を持って、その武力を使って好き勝手に世界を動かせるなら他国の国民は安心して暮らせない世の中になる。巨大大国となっても、道徳心のある国と国民になってくれる事を願う。

お土産もほとんど買わなかったので、旅のトータルで使ったお金が飲み代を入れてもニキュッパ円くらいで済んでしまった。最終日、空港に着いて、家内に頼まれた化粧品を買う為に免税店へ急ぐ。搭乗まであまり時間がない。ランコムの化粧品を手にしてレジに並ぶが混んでいてなかなか進まない。搭乗時間の5分前、いつの間にか私の横に若い中国人の女性が並んだとおもったら、しかとして私の前にでる。「私の方が先に並んでいた」と、文句を言ったら逆に怒られてしまった。

これが有名な『中国、割り込み人間』、これが今の中国。中国人の移民の多いアメリカでも経験しているので呆れながらも、先に行かせる。日本にも住んだ事のあるガイドの趙さんが「中国はこの20年間ですざましい経済的発展を遂げたが、人民の道徳心、マナーは世界の先進国より20年は遅れている」と、言っていた。中国で最後の時間に少し嫌な思いをしたが、それでも、私にとって初めての団体旅行は、楽しい旅であった。

会計が終わって搭乗ゲートへダッシュ。