ニーハオ台北の旅

昨年予定して、直前に台風のためキャンセルした台湾行きをO君と二人で再計画し、今回は無事に6月24日の夕方新潟空港を出発する。空港へはFさんが車で送ってくれた。いつも運転してくれて、本人参加のないこんな時まで送ってくれるFさんには感謝に堪えない。

 

海外旅行はコロナ禍発生直前に行った3週間のアメリカ旅行以来である。しかし沖縄旅行に続き、今回もまた新潟空港発なので安くて便利ある。フライトは満員で、台湾の人が多い。我々の参加したこのツアーは台北4泊5日の旅で、往復の航空料金と、台北4泊のホテルと朝食、ホテルへの送迎が付いている。それ以外、現地での過ごし方はオプションのツアーに参加するか、自由行動が基本である。旅行会社HISが全国からの直行便を使って台北に旅行者を送り、現地の旅行会社が送迎、オプション、トラブルの対処をしてくれる。6月24日、午後6時55分発でのLCCの格安航空券は今回も機内食はない。3時間15分で台北に着く。標準時間は台湾が1時間遅い。

 

到着して荷物を受け取り、入管手続きをして、目の前にある両替所に寄って一人2万円ほどの両替をして、そのまま入国してホテルに送ってくれる現地旅行社の係員の出迎えを受ける。全員がそろう間にトイレで小用をしていると、突然隣のO君が「あ、、スーツケースを忘れてきた!」と、とんでもないことを、言いだす。トイレもそこそこに周辺を探すがない、「さっきまで有ったじゃない」と、記憶を思い起こすが、どうも、先ほどの両替所の前に置いてきたようだ。すでに入国しているので、戻る訳にもいかず、旅行社の人に助けを求めると、電話をかけて探してくれている。その間、O君はもう出てこない場合の、着の身着のままからの台湾旅行を想定してか驚愕のひと時を過ごし連絡を待つ。時間的には15分後くらいであろうか、発見され戻ってきた今まで何度か彼の海外旅行に同行した青色小型スーツケースを見たO君は思わずへたり込む程、安堵する。半世紀前、北欧放浪中、フィンランドでの白夜の夜、盗難に遭い、着のみ着のまま異国の地で投げ出された経験のある私は、どうにかなることを知っているが、今までの旅行でも、何かをやらかして良くも悪くも思い出に残るアクセントを付けてくれるO君、これは旅の初めに気を付けなさいという有難い警告と思う。

   何度かの海外旅行をO君と共にしたスーツケース戻ってきて良かったね

台北市内中心部にあるホテルまでは約40分ほどであった。Green World Hotelは値段は安いが台北中央駅から徒歩8分ほどというロケーションの良さで選んでいる。古いホテルでトイレットペーパーは流さないでくださいというのが前時代的であるが、使用後は流さずに便器の横のゴミ箱へ、と言うのが一般的な台湾でのトイレ事情であった。台北ではその後もウオシュレットはみる事はなかった。初日は時間も遅く、隣のセブンイレブンで軽食とビール4缶を買って夕食とする。

 

ビールを飲んで、「プァ~!やっぱりビールは美味いねぇ。台湾ビールちょっと薄いけど」しばらく飲み続けて食事が終わってから、O君が気づく「小堺、おいおい、これノンアルだよ」4缶のうち2缶がノンアルであった。飲んべいが二人そろって気が付かなかったというご粗末な第一夜であったが、時代はもう「男は黙ってノンアルビール」である。

 

翌朝、このホテルではビュッフェスタイルの朝食が付いている。ホテルの規模の割にそこそこの朝食は中華料理で毎日メニューも変わるのには感心する。10時前にホテルを出て、中央駅の地下鉄から台北最古の寺でパワースポットの龍山寺に向かう。今日は地下鉄の一日乗り放題のパスを750円で購入。地下鉄乗り場に行くと、日本人のおばさんたちが5名いたので話しかけて、これから行くところを聞くと我々と同じ龍山寺と言うので、「ご一緒しましょうか?」と、皆さんをお誘いすると、逆に「台北在住の親戚が、通訳ガイドしてくれますよ」とのことで有難く同行させてもらう。話したら、偶然に4名の方たちは新潟の南区からの観光客で、なんと同じフライトで来た方々であった。地下鉄初体験も、現地に暮らす方の案内で迷うことなく動けて無駄な時間が無くスムースに進む。

           ホテルの日替わり朝食

            台北中央駅

龍山寺は、台北最古の寺院であり最強のパワースポットで様々な神様が祭られている。それぞれの願い事により神様も分業化されて得意分野があるようだ。

               龍山寺

        同じ便で新潟から来た方たちと

              レトロな街並み

    新富市場でカラスミを買う、現地の人の行く市場で安い

           ここにも大谷選手の大看板が

女性方と別れて、天井に提灯の飾られたお店で軽い昼食を食べて一旦ホテルへ戻り休憩。

      その後レトロな建物の並ぶ問屋街迪化街を詮索して、

夕方4時45分に駅東口前からバスで巡るサンセット九份ツアーに参加する。ここは「千と千尋の神隠し」のモデルとなったと噂される場所。暗くなると提灯に灯りがともり、ライトアップされた階段が上へと続く。かなりの急勾配で途中で小雨に降られる。一度しかない旅行地では雨の風景もまた良しとする。階段の途中にあるお茶屋によってお茶の入れ方を教わって、中国茶のセットをいただく。小さな茶碗で、お茶を飲むO君の姿はどう見てもおちょこでお酒を飲んでいる様に見えてしまう。「まあまあ、いっぱいどうぞ」と、いつものパターンでお酒ならぬお茶を継ぎ合う。

             九份の階段を上る前に夕食

    まあまあ一杯と、差しつ差されつ

帰りに寄った夜の饒河街觀光夜市では隣にあるライトアップされた松山慈祐宮が美しい。お昼が多かったので、夜は軽く済ます。

26日は市内観光の一日ツアーを予約してあった。早起きして朝食を取り、8時に中央駅東口に集合。駅周辺の地下街は複雑で、その後も駅前三越前の大通りを駅へと横断するため何度も迷路のような地下街で行き帰りに遠回りを強いられるのであった。駅内と周辺にはホームレスが多い。駅には待合室など無く、列車を待つ乗客も地面に座って、食事をしたりしていてホームレスとの区別が難しい。駅周辺のホームレスは登録されており、台北では防犯カメラが多く、犯罪は意外に少ないのだという。

            台北駅の地下街

      やはりエスカレーターは左側は急ぐ人の為に空けていました

26日は旅行社のバスでの市内一日観光ツアー。まずは行天宮でおみくじを引く、神様にお伺いを立てて、筊(こう=三日月形の赤い木片)を2つ手に取って投げると出た目が表と裏ならおみくじを引いてよし! チャンスは3回。私は毎回一発でOKと出たがO君はかなり何度も投げていた。中国茶の専門店に案内されて、ここでも92歳のお茶博士にお茶の立て方、飲み方のセミナーを受けて、高級茶を何点か購入。

          日本語教育を受けた世代のお茶博士のおばあちゃん

中華民国初代総統・中国国民党総裁である蔣介石の記念館である国立中正紀念堂中の蒋介石の銅像前の左右の衛兵は1時間、微動だにしない。まばたきもせずに立ち続けるのは訓練のたまものか、花粉症の人には出来ない激務である。

              瞬きもしない衛兵

ランチは小籠包の有名店。うまくてなかなかのボリュームで満足した。

午後からは台湾観光のメインの一つ国立故宮博物院へ。蒋介石が本土から持ってきた歴代の中華王朝が集めてきた青銅器や玉器、各時代の書画、陶磁器、文房具、書物などが70万点近く収蔵されている。展示されている翡翠の原石で作られた高さ19cmほどの白菜の置物「翠玉白菜」や、天然石で作られた豚の角煮にそっくりな置物「肉形石」は特に有名であるが、白菜は貸し出し中で見られなかった。豚の角煮はそっくりではあるが、思いのほか小さく、食欲はさほど誘われない。白菜があれば、豚肉と白菜の煮物が出来るのにと残念であった。

   「翠玉白菜」は展示されていなかったので写真のコピーを

ここには皇帝の所有物にのみ使用を許されたという5本指の龍のデザインされた品物がたくさんあった

戦争などで亡くなった英霊を祀る忠烈祠では、毎時に行われる兵隊たちの衛兵交代式の見学。

台湾では一年間の徴兵制度があり、駅などの巨大地下道は、おそらく戦争状態に備えてのシェルターの役割も想定して作られていると思う。何せ、隣の大国、中華人民共和国とは常に緊張したか関係が続いているのである。帰国して調べたらシャルターとしての地下街で合っていました。平和ボケした日本とは違う一面を持っている台湾は中国の横槍により、多くの国から正式な国としての扱いを受けていない。街を歩くと日本文化の浸透はすさまじく、車はほとんどが日本製であり、セブンイレブン、ファミマ、回転すし、牛丼チェーン、マツモトキヨシと驚くほどである。ヨーグルトと乾燥イチゴのお店の前で試食を渡された、見れば試食以上の一品くらいの量が入っている。日本人と分かって渡してくれたのが分かる。ここでも谢谢。統治時代の建物も多く残されている。同じ歴史を持つが反日教育をする韓国と比べると、こんなに親日的な国はない、日本も台湾に親切に感謝するべきである。

4時半ごろ中央駅に送ってもらい、また迷路の地下街を巡って宿に帰る。

        日本統治時代の建物が残る行政府

        一日市内ツアーで一緒に過ごしたUさんとガイドさん

夜6時ごろホテルを出て、台北最大の夜市である士林夜市へ。歩いていて気付いた、ビールは屋台形式のとこでは出していない、屋外では飲んでいけないが、お店を構えた席のある所はビールをサーブしていいようである。まずはビールを飲めるお店を探し次が食べ物である。1軒目に入ってビールと幾つかのおつまみ系の串焼きなどを頼むと店の人がビールを一杯追加で持ってきて翻訳機で「無料」と見せる。どうやら2杯頼むと一杯無料になるようである。得した気分で「次、行こう!」となる。

夜市の楽しみ方は、ヨーロッパのバルのような飲み歩きが良いようだ。そうと分かれば飲んべいは理解が早い。次のお店ではショウケースに並んでいる串焼きを選んでバスケットに入れてお店の人に渡すと焼いてくれる。1串が100円ほどでビールは大瓶500円くらいから。なぜかキムチの無料突き出しがあり、図々しくもお代わりをする。

 

27日は、昨日の市内観光で一日一緒だった一人旅の女性Uさんと一緒に台北のランドマークビル台北101に行く約束をしていて、ツアーの集合と同じ場所で9時20分に落ち合う。市内だと地下鉄代は一回のって約100円くらい。円安でも台湾の物価は安い。

台北101は2004年にオープンし、地下5階から地上101階、高さ約509mを誇り、オフィスやショッピングモール、レストラン、展望台を備えた複合施設である。東芝の高速エレベーターで一気に89階にある展望台フロア「パノラマ360」までわずか39秒で上がるという。私の知るところ、ニューヨークでもシカゴでも超高層ビルの高速エレベーターはすべて日本製である。

89階は一面ガラス張りになっており、360度すべてから台北の景色を一望できる。高所恐怖症のO君、今日は頑張って窓際まで攻めている。

101を出て、今日の夕方の便で帰国するUさんと途中まで歩き、交差路で別れて、反対方向へ歩き出す。連日2万歩前後歩いているおじさんたちは、昨日、実年齢をいったら、「えぇ~、ある意味今回一番の驚きです」などと言われて鼻の下を伸ばし、若い子と颯爽と歩いていたが別れると急に足が重くなる。

          Uさん有り難う

さらに猛暑の中をかなり歩いて中国革命の指導者、孫文の功績を讃える国父記念館に着くと、なんと3年間内部の改装のため休館だという。ここでさらに足取りは重くなったのであった。

昼はベトナム料理のフォーが上手かった。

最後の夜はまた食欲に誘われて士林夜市へ、アヒルの舌の珍味、これは珍味と言うだけあって味はムムム、食感はシャリシャリ。中国人は四つ足の物は机以外何でも食べると言われるが、まして鳥などは余す所無く食べ尽くす。5個入って5羽のアヒルを使ったある意味贅沢な料理である。そして昨日食べれなかった土鍋が美味かった。また、昨夜と同じ店に入って様々な串焼きの美味を楽しむ。

最終日の朝、空港に向かうバスはホテルに10時20分に迎えに来る。朝食の後、だいぶ時間があるので付近を一人で散歩する。駅前の三越で新たな発見があった。大通りの向かいにある中央駅に行くのに、ひたすら右手にみえる駅舎に向かって地下街を進んでいたが、なんと三越前の左側には立派な交差点があり、グランドレベルで駅前広場に繋がっていた。今更気づいても、この交差点を渡ることはもうないのである。

 

空港内でもう一度、牛肉麺を食べると、二人とも残金は300円くらいと見事に両替えしたお金を使い切ったのであった。機内で2日目に地下鉄乗り場から一緒だった4名のおばさん方と再会。彼女らといい、Uさんと言い、旅は道ずれ、声をかけてみると新たな出会いが始まるのも旅の楽しみ方である。到着時はハラハラさせられたが、いい旅であった。

 

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