ホワイト・クリスマス

クリスマスの4連休。今週になって1メートルほどの降雪があり、久しぶりの大雪のなか、ホワイト・クリスマスを過ごしにマンモスに向かう。

水曜は雪が小降りになっているが、今週は木曜から日曜まで更に雪が降る予報である。おそらく道路も雪が残り、久しぶりの本格的な冬気候のなか、運転に十分注意して、早めに出発する予定である。

午後1時半にサンタモニカの佐野さん宅を出発。さすがにクリスマス休暇の始まりと前日に強風で出発を見合わせていたトラックが多くて、道路は混んでいる。

先日が冬至だったので、今が一番、日が短い。そして、これから毎日2分ほどずつ日が長くなっていく。今日は夕方5時くらいには薄暗くなってきた。太陽が落ちると変わって、満月が顔をだす。月光に照らされたシェラネバダ山脈の雪山が明るい。クリスマスソングを聞きながら先を急ぐ。


ビショップのクリスマス・デコレーション

予想を覆すように、マンモスの街中に入るまで、道路に雪はなく、チェーンを履くつもりで来たのに、幾分、拍子ぬけである。7時にシャモニーに到着。明日は30cmの降雪の予報。今回はホワイト・クリスマスである。

シャモニーの駐車場から満月を望む

木曜は大雪、と言われたら、いつ降り出すのかが気がかり。夜中に外をみるが、星空が見えている。本当の新雪は降っている時にしか滑れないので、やっぱり今回は期待してしまう。
そして、朝、7時半、ついに外には雪が降りだした。

どこまで積もるか、ちょっとワクワクです。

うっすらと雪化粧した駐車場の車を横目にゲレンデに向かう。すでにリフトは動いているが、嵐の為にかなりのリフトが停まっている。一番近くにある初心者用の17番でローラーコーストに向かう。

風が強くなっている。更に向かい風なのでリフトに乗ってすぐにこれはまずいと気づく。今回はヘルメットを被って来たが、朝方はそんなに風が強くなかったので、サングラスで出て来た。顔面の露出面積が多すぎた。

顔面に雪が吹き付ける。それが溶けて、顔面で凍る。顔面に氷が張る。サングラスは曇り、凍結する。冷たさで顔全体の感覚がなくなり、アイスクリームを大量に食べた時のように、頭がツーンと痛くなってくる。

見えない、顔が痛いの状態で、何とかローラーコーストは下りたが、佐野さんと一緒にスキーに来て数十年、滑り始めてすぐ、おそらく初めて私から「戻って休もう」と提案。キャニオン・ロッジに戻って更にシャモニーにゴーグルと顔面を覆うマスクを取りに帰る。

キャニオン・ロッジに戻り、そのまま8番リフトに乗って、一本滑ってみると、降雪の中なのに先ほどの顔面に氷が張った状態と全然違って、温かい。気持ちよく余裕で、レッド・ウイングの新雪を滑る。雪は最高。そして、ゴーグルのおかげで視界もいい。最初からこの備えで来るべきであった。

一度別れた佐野さんとは昼に会えばいいと、もう一本今度はキャニオン・エックスプレスに乗ろうとしていたら、佐野さんが手を振っている。とりあえず、キャニオンロッジに引き上げるとすでにベストの場所に席を確保してくれていた。

何がベストかといって、バーがすぐ隣。そして、佐野さんの向かいに座った私の右手50cmにゴミ箱がある。座ったままゴミを捨てれる一等席でした。ハハハ。

外はほとんど視界の効かない吹雪になっている。スタンバイ状態で、早めのビールに、バーからのワインを追加。気持ち良くほろ酔い。少し早いがサラダ中心の昼食を終え、「じゃあ、マッコイまで遠征して見ますか?」と、吹雪の中をゲレンデにでる。しかし、今日は山頂のみならず、中腹に向かうリフトも強風でシャットダウンされている。開いているのは最底部のリフトだけ。何処まで行けるか、行ってみないと分からない。

スクール・ヤードのリフトで今朝行ったローラーコーストへ向かう。ローラコーストのリフトに乗れれば、そのままスタンピーのリフト乗り場まで下りて行ける。そこからスタンピーに乗れたらマッコイまで行ける。

キャニオン・ロッジから見た外の風景


キャニオンロッジの前の様子
キャニオン・エックスプレスは停まっているので、スクールヤードでローラーコーストへ向かうが、行って見たらこのローラコーストのリフトも動いていない。リフトを乗り継いでのマッコイ・ステーションに行く道は閉ざされている。

諦めて、キャニオン・ロッジに戻る事に。結局、今日はキャニオン・ロッジ周辺で滑るしかないようである。キャニオンからマッコイに行けなかった経験は今までにない。しかし、降りたての雪はどんどん降り積もり、低温のため、ふわふわでスキーには最高の雪質である。途中で佐野さんは私の合図に気づかず、右側の林の中に入っていく。私はすでに左側の林の中。

林の中には距離は短いが手つかずの新雪。最後の所はスクールヤードのリフトの真下。適当な斜度があり、新雪を気持ち良く滑って、もう一つ開いている8番のリフトラインに並ぶ。佐野さんは見当たらない。はぐれてしまったようだ。
8番リフトの上からゲレンデを見て、これから滑る斜面をきめる。

8番リフトから

あと3本は滑りたい。まだ、あまり荒らされていない斜面を攻略したい。高度の低いゲレンデでは数少ないブラックダイヤモンドであるブルージェーが8番リフト乗り場のすぐ左にある。ここに一本目は降りてこよう。

ゴーグルに変えてから、視界も何とかなっている。ブルージェーは急斜面だが結構好きな斜面。ここは途中までは緩い斜面で、後半は急斜面のうえ今日は柔らかい瘤がある。急斜面の上で呼吸を整え、一気に滑り下りる。林の中で風も弱く、雪が良くて快感である。

2本目は8番リフトの真下。
ここは上からの観客がいるので、気合をいれて、滑り出す。もう雪は今朝から30cmほど積もっている。結構、でこぼこの多い変化に富んだ斜面だが、私には面白い好きな斜面。

リフトの下の滑り出しは、上からギャラリーが観ている


8番リフトの真下
そして、3本目はレッドウイングの隣のレッドテールという斜面。普段はあまり滑らない斜面であるが手つかずの雪が端にある。しかし、猛吹雪の中のスキーである。

いよいよ激しく雪の降る中、8番リフトのライン

そのリフトに一緒に乗った男性が口ひげいっぱいにエベレスト登山隊のような凍った髭をそのままにしているので、「よかったら、写真を撮らせてくれますか?友達に、どのくらい寒いか見せてあげたい」というと、快く撮らせてくれた。その写真がこれです。

いつの間にか2時を回っている。おそらく佐野さんはすでに上がっているはず。今日はスキーを履いたまま、シャモニーのコンドまで道路を滑って帰れる。

駐車場

シャモニーの駐車場は、サラサラの25cmほどの雪に覆われていた。
風で雪が舞い上がり、まだ雪は降り続けている。


今日はさすがに屋外のジャグジィーにいける状態ではない

明日はクリスマス。
夜に外を見ると雪は止んで、明日は最高のホワイト・クリスマスになりそうな気配。

そして、クリスマスの朝。

スキーヤーにとって、これ以上の贈り物はないというホワイト・クリスマスである。早く出て滑りたいが、佐野さんは少し遅れて出るというので、先に出発する。

スクールヤードのリフトラインの前から5列目。リフトの上からどこを滑るかを決めるが、ここは初心者用のコースなのでグルームしてないところを滑る人は少なく、競争者はまりいないので、楽勝である。しかし、滑り出すと斜面が緩くて、あまりスキーが進まない。幾分急なところで初めて新雪にシュプールを描ける。


緩斜面にかろうじて描けたシュプール

ローラーコーストに移動して、2本滑る。一本目はゲレンデの右側、2本目は左側のスノーボード・パークの中。グルームした斜面の横にまだかなりのバージンスノーが残る。結構長いシュプールを描けた

ここからスタンピーに向かうため、ロースト・イン・ウッドを降りる。ここも普段はあまり滑らないコースであるが、上が開いていない時は、穴場かもしれない。
ここを降りると、昨日来れなかったスタンピーに繋がる。ここでゴールド・ラッシュを一本滑る。

そして、昨日滑れなかったスタンピーのリフトに乗る。山頂に行くゴンドラも、リフトもまだ動いていない。山頂には雪崩をコントロールする人口雪崩を起こす爆竹の音が響いている。


そして、スタンピーのリフトに。山頂が日に照らされて眩しく見えるが、まだ上に行くゴンドラもリフトも開いていない。

まだ開かれない山頂にはパトロール員の滑る跡だけ。

スタンピーは一番混んでいなけれがばならない斜面であるが、ゲレンデもリフト・ラインも思いのほか空いている。


スタンピーンの斜面の端に残る圧迫されてない雪

スタンピーとマンボの斜面はとても滑り易い。ここを4本滑ったところで、マッコイに向かう佐野さんを見つけて、追いかけ、マッコイで合流する。佐野さんもすでに朝から、普段に無くいっぱい滑ったと、満足そう。

マッコイの窓辺から山頂部がみえる。やがて騒がしくなり、マッコイから山頂に向かうゴンドラが動き出したようだ。様子を見に行くと、ゴンドラは長蛇の列。我々は早々と山頂はあきらめる。今日は山頂に行かなくとも、何処もかしこも上質な雪だらけ。


やがて、最初に山頂に着いたスキーヤー、スノーボーダーが我先にと滑り出す。その様子を窓辺で持ち込みのビール、ウイスキーのお湯割りを飲みながら見ているのも楽しい。アッと今に山肌はシュプールでいっぱいになっていく。

ほろ酔い気分で、「そろそろ、出ようか」といったところで回りを見るとブラディー・マリーを飲んでいる人が多い。今日はブラディー・マリーがバーのスペシャルのようだ。ここで佐野さんが「ブラディー・マリーは健康にいいんだよね」と、根拠の分からない一言。「健康にいいんじゃあ、飲まない訳にいかないよね」と、即、「Two bloody please!」とオーダーしていた。なかなか思い腰はあがらない。

山頂をあきらめた我々は、スタンピーを下りる。

気持ちよく滑り、佐野さんが下りてくるのを待つ。

ゴールド・ラッシュから一度キャニオンへ降りていく。途中のザ・アクトの柔らかな瘤斜面が面白い。8番リフトで、もう一本滑り、かなり足に来ているので、早めに上がる。今日もコンドまでスキーで滑って帰れる。


気温が低いので、降雪が止まっても、雪質が変わらないのがいい。

https://www.youtube.com/edit?o=U&feature=vm&video_id=PoSANy6RXdg
動画


今日はトイレット・ペーパーなどの買い出しに行かなければならない。車を掘り出すのは大変なので、着替えてキャニオン・ロッジに戻り、ゴンドラでザ・ビレッジにくりだす。

買い物の後。ビレッジを散策。
クリスマス・ツリーが本物の雪を被ってとっても素敵。

今日の夕飯は、鶏肉と鱈の鍋物に、飲み物は日本でも安倍首相がオバマ大統領にだした日本酒として、一躍有名になった山口のお酒『獺祭』。日本でも品不足と聞いたお酒が、なぜか近くの日系マーケットで買えたのです。
芳醇な味の美味しいお酒です。

もっとちゃんとした土鍋などが有ればいいのですが。


噂の獺祭がマンモスで飲めるとは。

食後、偶然かけたDVDが The Pola Express.

http://wwws.warnerbros.co.jp/polarexpress/html/movie_synopsis.html?dl=01a
まさに、クリスマスの聖夜に観る映画でした。

土曜日の朝、9時にゲレンデに出る。すぐに8番に乗って、山の南側にある斜面を目指す。

25番リフトに乗って、25番リフトの乗り場まで滑り下りる。ここは結構広くて長いコース。気温が低いので、雪質がいい。もう一度25番で上がって、反対側の5番の斜面にでる。




長い25番リフト



凄く景色がいい

広くて空いている25番に下りるゲレンデ

25番の降り口に出来た樹氷

https://youtu.be/PFwWjg8nzyQ

25番を滑る

そして昨日は機械の故障で動いていなかった3番のフェースリフトへ。ウエスト・ボールは雪が深く、重いターン。スタンピーを滑って、マッコイで休憩。

ウイスキーのお湯割りの蜂蜜入りを飲もうと、カップと蜂蜜を取りに行くと、「ミスター・コザカイ!」と、誰かの呼ぶ声。しかし姿が見えない。誰かと思ったら嘉藤さんが私を見つけて、わざと人影に隠れて声をかけてきたのだった。

一休みして、先日ヨーロッパへスキーに行ってきた嘉藤さんのお土産話を興味深く聞く。佐野さんはフットボールの中継が気になって、まだマッコイに居るというので、私は嘉藤さんの仲間と滑りにでる。私のスキー歴は長いが、指導を受ける機会は少ない。嘉藤さんがアドバイスをしてくれるので、これからの目標が出来る。

昼休みにマッコイに戻ると、足を手術してドクターストップがかかっているはずの羽鳥さんがテニス仲間とスキーにきていたので挨拶。ドクターには内緒で、初滑り。もうかなり普通に滑っているそうで、スキーを出来るまで回復していたのは驚き。これからも気を付けて滑ってください。

佐野さんは午後からは滑らないというので、嘉藤さんたちと3時近くまで一緒に滑り、5番で別れて、私はキャニオン・ロッジへと向かう。途中でローラコーストをもう一本。

今日は3時過ぎの山の影がゲレンデに落ちるまで滑った。
明日は滑らないで、朝マンモスを離れる。

今回は最高のホワイト・クリスマスだった。
大雪はあっても、タイミングよくクリスマスの連休にぶつかり、クリスマスの日に快晴になるのは20年近くマンモスでクリスマスを過ごしているが、記憶的には1度くらいしかない。統計は知らないが、その確率は、例えば10年に一度とかかもしれない。

ともかく、地元の人も驚くホワイト・クリスマスでした。

日曜は、滑らないで、朝9時にマンモスを後にする。

シャモニーの上のきれいな空


帰り路のロン・パインにて、アメリカ本土の最高峰マウント・ホイットニーを望む

佐野さんは年末・新年にかけてのシャモニの使用がダブル・ブッキングになってしまい、帰りの車中でその調節に奮闘していた。
すべてが上手く行きますように。
そして、皆さんも、良い新年を迎えられますように。