雪の楽しさ、雪の怖さ

夜中に起きて外をみると小雨が降っている。最悪の天候である。早く雪に変わってくれる事を祈って、また眠りにつく。

朝方、再び外を見ると有難い雪になっている。まだ薄っすらと雪化粧しただけで、昨夜の雨で消えた分も積もっていないが、まだ、降り続けているからゲレンデがオープンするまでにどのくらい積もってくれることか。

昨夜まで、「滑るかどうか分からない」と言っていた佐野さんも、この雪を見て滑ることに。
8時半に佐野さんとゲレンデに出る。7cmほどの新雪が積もり、まだ降り続けている。雪は湿っていて重い。それでも昨日までの朝のアイシーなコンデェションより気持よく滑られる。キャニオンロッジに向かって何本か滑っり下りる。

今回からの吹雪用の帽子、本物の毛皮はかなりワイルドだろ〜!

陽気な8番リフトのお兄ちゃん、それよりこの遅いリフトを何とかしてくれ

ローラコーストの斜面を僕が先に滑りだす。雪に乗って気持ちいい。途中で佐野さんの位置を確認するように滑りながらスローダウンして後ろの佐野さんを探す。その間に佐野さんが僕を追い越していく。佐野さんを追う。今季の佐野さん、なかなかアグレッシブルに滑っている。


湿った重い雪であるが、それでも雪はスキー場では有難い
今日は空いているので、ほとんどリフトラインが無く、休みなく滑れる。リフトに乗っている時間だけが休憩の時間である。スタンプ・アレーに移動する。山の上の方は視界が悪くて見えない。そろそろゲレンデが荒らされてきて、重い雪の荒れた雪面をすべると太腿への負担が増してくる。
今日は早目にあがることにする。

スタンプ・アレーの麓にあるミルカフェ
コンドに戻ると原ちゃんが掃除をしていてくれた。ハムエッグと塩鮭、漬物で昼食を食べ帰路につくことに。僕と原ちゃんが車に乗り込んでから、佐野さんがもう一度点検に戻る。なかなか戻って来ない。よほど念入りに忘れ物をしないよう点検しているのだろうか。5分くらいして、やっと戻ったので出発する。

1時間半くらい走ったところで、佐野さん、ベットルームに携帯を忘れて来たと言い出す。来週知り合いがくるから持ってきてもらうことにして、先へすすむが、どうも最後の点検時間が足らなかったようである。

日本では東北、北海道で記録的な大雪に襲われ、犠牲者がでている。北海道の事故はいずれも吹雪の中で車が雪のために動かなくなった状態で、車の中で4人が一酸化中毒で亡くなったニュースと、車を置いて歩き出して、雪中で動けけなくなり、父親が娘を守りながら凍死した悲惨なニュースであった。僕は雪国の出身であり、永く雪に親しみスキーを続けているので他人ごとではない。こういうニュースを聞くたびに、もう少し危機管理の知識があれば助かって居たのにと思うことがある。

今は携帯があるので、まず車が雪の中でスタックしたら、通過する車や、携帯で助けをもとめ、救助の来るのを待たなければならない。その数時間を生き延びる事が出来たら、助かるのである。

風が強いと驚くほど早く体温を奪われる。サバイバルブランケットというアルミ箔てできた小さく畳めるシートがある。これを持っていたら毛布よりはるかに効率よく体温をたもてる。ぜひ雪道を走る人は車の中に常備しておきたい物である。

90%の体温を維持するサバイバルブランケット、アメリカでは5ドルほどで買える。考えてみて欲しい、これを車の中に持っているだけでいざという時に、助かるのである。

外が吹雪でホワイトアウトの状態では絶対に車を置いて歩き出しては駄目である。ホワイトアウトの怖さは経験あるアウトドア派は知っているとおもうが、自分の立っている感覚も分からなくなる。僕が小学生の頃、南極越冬隊の福島隊員がブリザードの中を犬に餌を与えた後、ホワイトアウトで方向を失い遭難した事件は今だに名前を覚えているほど衝撃であった。

さらに雪の降る中で車が止まってしまったら、暖房のためにヒーターをかけっぱなしにするのは注意が必要である。ガソリンの消費を見ながら点けたり消したりするのが正しい。ヒーターを付けた状態で車のマフラーが雪に覆われたら車の中で一酸化炭素中毒になる事を知る人は雪国の人でも意外と少ない。ヒーターをかけ続けるなら、時たま外に出てマフラーの周りの雪を除雪しなければならない。最近の車は排ガスの臭いのないまま一酸化炭素中毒になる。

なぜ学校とかで、そういうサバイバル知識を教える機会がないのかと不思議に思う。わずか1時間のサバイバル講義が貴重な命を守る。
ぜひ検討して欲しいものである。